皆さんは地域ケア会議という言葉を聞いたことがありますか?
地域ケア会議とは、国が推進している地域包括ケアという仕組みを実現するために多職種が協働して話しあう場のことです。
先日、地域ケア会議に出席してもらった長老大学のスタッフより、会議の場でハラスメントを受けたとの報告がありました。
その日の地域ケア会議では「10年後の本山町を考える」というテーマで、地元住民の皆様と共にワークショップ形式で「こうなったらいいな」と感じる未来を話しあうというものでした。
本山町は山間部の過疎高齢化の町ですので、人口の減少は最大の課題の一つです。
「子どもが増えたらえいねえ」というのは多くの方が望む未来と思います。
そこで、どうしても起こりがちなことなのですが、長老大学スタッフを含む独身の出席者に対し「あなた達が早く結婚したら」「早く子どもをつくったら」というような言葉が、冗談半分で繰り返されたとのことです。
会の進行役の方も、話題を変えるのではなく、むしろワークショップを盛り上げるためなのか、あえてその話題を何度も振ってきたそうです。
参加したスタッフによると
「独身であることを吊るし上げられているようだった。初対面の人に言われるのは辛い。これから人を増やしていこうという本山町で、その言葉で深く傷ついてしまう人がいるかもしれないことに想像力が及んでいないことはいかがなものか。」とのことでした。
「些細なこと」と考える方もおられるかもしれませんが、ハラスメント対応では被害を受けた側の「主観」を尊重する姿勢が必要だと私は考えています。
ちなみに、こういうことを書くと「何がセクハラかが主観で決まるのは怖い」という人が必ずいる。私はセクハラは「完全になくす」のではなく、「告発されたときに真摯に対応する」ほうが良いと思う。人間関係ではすれ違いはあるものなので、「告発→是正する」ことを繰り返すほうが現実的だ。
地域ケア会のテーマであった「10年後の本山町」を真剣に考えた場合、このことを誰も問題視しない地域よりも、傷ついたことを率直に言える地域の方が未来は明るいと考えます。
長老大学の利用者さんに相談したところ
「そりゃあ黙っとったらいかん」
というアドバイス。
そこで、デイサービス長老大学として運営側に抗議いたしました。
するとすぐに事実関係の調査をしてくださり、その後、地域ケア会議の運営に関わる複数の組織のトップの方々が長老大学を訪ねて来て、本人に対し直接謝罪と再発防止のための約束をしてくれました。
ここまで真摯に対応していただけると、言ってよかったと思います。
本山町良いところです。
読者の皆様の中には、こういうことをブログ記事に書いてしまっては、そのスタッフが更に傷ついてしまうのでは?と心配してくださる方もおられるかもしれません。
私もそれを心配したのですが、当該スタッフの中井勇介さんは
「地域の未来のために思い切り書いてください」
とのことでした。
彼は元本山町地域おこし協力隊で、将来は町づくりの専門家を目指し、今はデイサービス長老大学で福祉の現場を経験中です。
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