デイサービス長老大学

高齢者の皆様と共に未来をつくる。デイサービス 長老大学 のブログです。


カジノ型デイサービスは介護の多様性を広められるのか?それともエイジズムを激化させてしまうのか?

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(画像はカジノ型デイサービス・ラスベガスより)


神戸市がカジノ型デイサービスの規制に動き出したとのニュースがありました。

www.nikkei.com

カジノ型デイサービスとは、擬似通貨などを利用して、カジノやパチンコや麻雀などの賭け事を活動の中心としたデイサービスです。
アミューズメント型デイサービスとも呼ばれています。 

 

私も同業者として、カジノ型デイサービスにはとても興味を持っています。
介護の多様性を広げて「閉じこもり」の方をも惹きつける魅力があるだろうという期待と、世代間対立によるエイジズム(高齢者嫌悪)を激化させてしまうのではないかという不安の両方を感じています。


デイサービスなどの通所サービスの利用に抵抗のある方は少なくありません。
在宅介護において、自宅への閉じ籠り・引きこもりは深刻な問題です。
昼夜の逆転も起こりやすく、心身の機能は落ちやすくなり、ご家族の介護負担は増すばかりとなりがちです。
このようなケースは、特に男性に多いです。

 

私はデイサービスは「自宅から外出して通うこと」自体に大きな意義があると考えています。朝起きて、着替えなどの準備をして、日中の会話や活動を増やすこと。
それだけでも生活のリズムが整いやすくなり介護度の悪化防止につながります。

 

カジノ型デイサービスは、通常のデイサービスに抵抗のある方にも「通ってみよう」と思わせる魅力があるだろうと思います。
また、人を夢中にさせる「賭けごと」だからこその機能訓練的効果もあるでしょう。

 

神戸市は「過剰で不必要な介護サービスは保険料の上昇や利用者の自己負担増につながる」と説明していますが、カジノ型デイサービスの運営側からも反論のためのエビデンスが出てくるでしょう。注目して待ちたいです。

 

カジノ型デイサービスラスベガスのWEBサイトからの引用です。 

介護施設では、ついつい、「あれはしちゃダメ」「これはしちゃダメ」と禁止事項が多くなります。
もちろん、皆様の安全を思ってのことです。

でも、自主性は大切です。
ラスベガスは原則として自己選択・自己責任です。

あれこれ禁止されては返って衰えてしまうからです。

もちろん、安全面は十分に配慮し、訓練を受けた介護資格者が常駐しておりますが、
やたらめったら、お手伝いすることはしておりません。

つまり「年寄り扱いはしません」
それが自立支援の一番の機能訓練だと考えるからです。

ケアマネとしても、とても興味を引かれる文章です。
神戸市でのカジノ型デイ規制への意思決定に神戸の地域ケア会議がどう関わったのか?あるいは関わらなかったのか?気になるところです。


個人的にはカジノ型デイなどの取り組みは、その意義も理解できますし面白いと思っています。パチンコのようなマシンより、対人ゲームを中心としたほうがより良いとおもいますが。

 

しかし、その一方で、カジノ型デイサービスは「公費を使って遊んでいる」ように見えてしまうところに、若年層に広がりつつあるエイジズム(高齢者嫌悪)を激化させてしまうのではないかと不安も感じています。


私は、人口が多く影響力も大きい団塊世代が後期高齢者となる2025年頃に、エイジズムが激化して大きな社会問題になると予想しています。

今後激化すると予想される世代間対立によるエイジズムに介護施設はどう向き合うか?これはデイサービス長老大学の重要なテーマのひとつです。

高齢者が擬似ギャンブルを通じて若い世代を支えるような活動があれば取り入れてみたいと思うのですが。
アイデア募集中です。

 

しかしまあ、実質的に換金可能なギャンブルであるパチンコより先にカジノ型デイサービス規制が進むとは。

考えさせられるニュースでした。