※この記事は、Tumblrで私が書いていた澤本洋介のblog(2012/1/19)の記事に加筆修正し転載したものです。
こんにちは。
今日は高齢者に喜んでお金を使っていただけるサービスの社会的意義について、考えを書いてみます。
日本では個人の金融資産の約8割を中高年層が保有していると言われます。
私の暮らす高知県嶺北地域など、過疎高齢化の進む地方ほど、その割合はさらに高いでしょう。
そんな日本の今の高齢者福祉システムには「貧しい若者から豊かな老人への所得再分配である」という批判があります。
介護保険の現場では、どれほど資産のある高齢者でも、どれほど所得の多い高齢者でも1割負担でサービスを利用できます。(追記:2015年8月より、所得により2割負担になります。)
介護サービスを利用する定年リタイアした高齢者の年金収入と、サービスを提供する現役介護ヘルパーの月給を比較してみると、その差に愕然とするケースも少なく有りません。
資産のある高齢者に自治体が半額負担した格安のお弁当が配られることを恨めしく思う若者も多いでしょう。
高齢者への厚すぎる社会保障を削減すべきであるとの意見もあります。
しかし、中高年の皆さんが全員資産を多く持っているわけではありません。中高年層は人口も多いので一人あたりの資産で見ればデータの見え方も違うでしょう。増え続ける生活保護受給者も、その約半数が高齢者層とのデータがあります。
こうした高齢者への社会保障は現状でも決して十分とは言えず、さらに多くの支援が必要との意見もあります。私もこの意見を支持します。
国会では今まさに社会保障と税の一体改革について話し合いが行われているところですが、、、その他の素朴な視点として、今の日本には裕福な高齢者に喜んでお金を使っていただけるサービスがあまりに少ないのでは?という指摘があります。
有名ブロガーのChikirinさんは日本の温泉旅館についてもっと裕福な高齢者層へ向けたサービスの充実を提言しています。
2012-01-10 日本の温泉旅館も連泊を前提に!
Chikirinさんは3年前にもこのテーマについて記事をかいておられ、今読んでも大変考えさせられます。
2009-03-25 1500兆円という規模の意味
2009-03-26 “若者的なる者が消費する”という概念
2009-03-28 高齢者向けビジネスあれこれ
私は指圧師として多くのお年寄りのお宅を訪問しているのですが、今までに何人ものお客様から地デジ対応テレビの操作がうまくいかずに困っているとの相談を受けました。
電源ボタンを押す際に誤ってCSボタンなど違う所を押してしまい、地デジ放送を視聴できなくなるというものです。一度違うボタンを押してしまったらリモコン上部の小さな地デジボタンを押さない限り元に戻すことができません。高齢者にはとても使いにくい作りだと思います。
ここでは東芝レグザのリモコンを例にあげましたが、他のメーカーでも同じトラブルは起きています。最も購買力の強い層に使いづらい商品を作ってしまうことなど、とても勿体無いと感じました。
こういう相談は電話機でも洗濯機でもよくあります。
高齢化は世界の先進国が抱える課題であり、日本は課題先進国とも呼ばれています。日本の家電メーカーにはぜひともこの課題に挑戦していただき、世界中の高齢者の方に喜ばれ、生活を良い方向に変えるような製品をおくりだしてもらいたいと思います。
地域おこしの場面では「あるもの探し」と言って、その土地の資源を再発見しようという動きがあります。
日本の高齢者が保有する個人金融資産はまさに「あるもの」だと思います。
私は自営業の指圧屋として嶺北に移り住み5年がたちましたが、過疎高齢化のすすむ山の限界集落にもそれはあり、眠っていると実感しています。
ご高齢の方に喜んで使っていただけるサービスを皆で真剣に作り、内需を増やし世代間でお金を動かすことは、国や地方の経済にとって重要な意義を持ちますし、そのサービスが世界に広がればそれはさらに素晴らしいことだろうと考えます。
私自身も、今まで以上にご高齢の皆様に喜ばれ役に立つサービスを考え提供していきたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。