高知県本山町出身の女性から、田畑や山仕事に牛が使われていた時代のお話をお聞かせいただきました。
馬鍬(うまぐわ) 香川県農業試験場HP 農業資料館より
-牛は農家さんが一軒一軒飼っていたんですか?
そう、一件に必ず一頭はね。飼わんと田んぼができんけ。
今のように機械が全然ない時代やったんでね。もうどことも一頭は飼ってましたね。
昔の人は難儀したわね。牛は言うこと聞かんし(笑)
田んぼの時期になったら牛鍬(うしぐわ)というんで、こんなにしてすいてね。
ほしたら今度は馬鍬(うまぐわ)という針になったので、水溜めたのをこなしていくのよね。
-牛鍬ですいた後に馬鍬ですか。それは馬が使うんですか?
馬じゃない。馬鍬というけんど牛が使う。
馬でも使うけんどね。馬う飼うウチらは馬じゃったがね。馬と牛と。
牛鍬ですいて、水を入れてから馬鍬でこなしていく感じで。
そうして田をしたんじゃね。
冬場の田んぼの無い時は山で炭焼きをして、そしたら俵へ炭を詰めたのを牛につけて、炭を買う人が上関のミズにあったけそこまで牛で積んで。
ほんでもう、昔の人は、私らのお爺さんの時代は「夜から夜へ」といって夜が明けんうちに山に行って、日が暮れるまで山におって、牛につけてからに持ってきよって。
「あの人はいつっちゃ昼見たことが無いわ」というばあ働いたのよね。昔の人は。
-嶺北の山は険しいですが、牛は歩けるんですか?
そう険しい。道幅はないしね。でも牛は歩いていきますよ。
ウチらのお爺さんの自分は馬も飼いよったけね。馬には材木つけちょった。
切った長い材をつけてね。鞍をつけて、何本か両方につけて。
そしてからね。ロープで両方引っ張ってね。
そんなのした人はもうほとんど居らんようになったけねえ。居る人もボケてしもうて(笑)
-山でも田んぼでも畑でも牛が年中活躍してたんですね。
そうそう、牛はねえ、ほとんど今の車と一緒よ。
モノを運ぶのに使うけね。今のトラックと一緒。ぎっちりつこうて。
-馬は背中に乗りますけど、牛の背中にも乗れるんですか?
乗ったりもしたね。おとなしい牛は。
けんど牛は体を振るけコケるはね(笑)
私らも子どもの時分は牛のハミ切りをしよった。
今は機械で切るけんど、手でね。
-ハミ切りとは何ですか?
ハミ切りというのは、藁を切るのよ。牛の餌にね。
今は機械で藁をドンドン突っ込んだら餌に切るけんどね。
子どもが学校から戻ってきたら毎日それを。ムシロを敷いて。
ハミ切りという道具があって、今もあると思うけんど、餌をこればあに切るのよね。
-子ども達もたくさん働いてたんですね
今はトイレでもトイレットペーパーいうて贅沢なもん使うけんど。
私らの子供の頃には谷でフキの葉をちぎってね。
それを干して柔こうにして、トイレで使うたんじゃきね。
フキの葉をとってきて、それを干して柔らかくして。
-フキの葉をトイレで使ってたんですね
そうそう。そんで、新聞を取りゆう人は、新聞でするけんど。
若いもんは新聞をどうにでもジャッとやぶるけね。そうしたら年寄りが怒ってね。
「新聞をどんなにでも破ったらいかん!」いうて、4つに折って畳んで、包丁で切って、そうして穴開けて、トイレへ吊ってね。
みんなが使いやすいように。
今は贅沢なもんじゃねえ。
もう今は昔のようにはできんけんど、もうちょっと節約したら金が残ると思うけんどねえ(笑)
牛が「今のトラックと一緒」という言葉が印象的でした。
フキの葉を干して使っていたというトイレのお話も興味深かったです。
トイレットペーパーを贅沢と思ったことは無かったので新鮮でした。
このYahoo!知恵袋のベストアンサーは少し違っていて、干せばトゲは無くなり柔らかくなるそうです^^