こんにちは。
デイサービス長老大学の澤本洋介(@sawamoto482)です。
皆さんは、ヤツメウナギをご存知ですか?
名前に「ウナギ」とついていますが、ウナギの仲間ではなく、魚類でも無い生物だそうです。
デイサービス長老大学のある本山町では、かつて、ヤツメウナギが「なんぼでも捕れた」そうです。
こちらは本山町100周年記念誌に掲載されているヤツメウナギ漁の場面です。
たしかに、「なんぼでも捕れてそう!」な写真です。
本山町を流れる吉野川の支流の汗見川には、その名も「ヤツメ淵」と呼ばれる淵があり、そこでは大量のヤツメウナギが捕れたそうです。
ヤツメ渕に毎日通っていたというYさんのお話をご紹介します。
聞き書き Yさん(90代 女性)
夫婦で川の向かいとこっちと別れて、ぶったい(冒頭の写真で使われている漁具)で掬っちょった。
夕方に、子どもをおぶってすくいよった。
ヤツメは同じ所を通る。水が少し落ち込んでいるところから、上へは登れんから、そこにぶったいを据える。
石の際にぶったいを据えちょったら、ひっとり次から次へ入りよった。
「焼いてよし。炒めてもよし。煮てもよし。」って、捕ったら捕っただけ売れよった。
1匹10円で売れた。良いお金になる。
自分では食べんかった。ミミズみたいで気持ち悪い(笑)
見るからに、めっそ食べたいようなもんじゃない(笑)
食べた人はうまかったんじゃろうね。なんぼでも売れた(笑)
笑いながらお話するYさんはとても楽しそうでした。
たぶん、スナヤツメ南方種(絶滅危惧種)
ネット検索したところ、たぶん、このヤツメウナギとは、大きさや特徴から「スナヤツメ南方種」のことではないか?と思います。
ヤツメウナギは、早明浦ダムができた頃から姿が減り続け、今では本山町の川で見ることはほとんど無いようです。
ダム建設により、川の砂地が減ったことが原因ではないか?という話を聞きました。
幼生 アンモシーテスと呼ばれ目が埋没し、鰓孔も見えず、口も吸盤には見えない。
アンモシーテスは中流・下流域の砂地に潜る。
スナヤツメの幼生は砂地を棲み家とするそうです。
ヤツメが消えた大きな原因のひとつだろうと私も思います。
本山町はとても自然豊かな町です。
しかし、ご利用者の皆さんへの聞き書きからは、ほんの数十年前とは自然環境が大きく変わっていることを教わります。
デイサービス長老大学は、六車由実さんの「驚きの介護民俗学 」の影響を大きく受けています。
高齢者の皆様から学べる分野は多岐に渡ります。
生物学のフィールドワークに、高齢者施設への訪問も加えてみたら面白いかもしれません。
絶滅種・絶滅危惧種に関する全国の高齢者の聞き書きをまとめた『介護生物学』なんて本が出たら、ぜひ読んでみたいです。
どなたか一緒に作りませんか?