デイサービス長老大学

高齢者の皆様と共に未来をつくる。デイサービス 長老大学 のブログです。


蚕さんの初飼育の記録

こんにちは。

デイサービス長老大学 代表の澤本洋介(@sawamoto482)です。

2017年、長老大学は初めて蚕さんを育てました。
今日はそのチャレンジをご紹介します。

(注意:蚕さんの幼虫の写真が沢山でてきます。私は可愛いと思いますが、苦手な方はバックしてください。)

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可愛らしい姿です。

「聞き書き」にたびたび出てくる蚕さんの思い出

養蚕業の盛んだった高知県嶺北本山町では、多くのご利用者さんが蚕を育てていた記憶をお持ちです。

 

「子供の頃は蚕さんをいっぱい飼っていました。棚をつくってエビラをいっぱい載せて。桑の葉をあげると音を立てて食べていました。」

「お蚕様は水に弱いので桑の葉をよく拭く手伝いをしていました。」

「土佐町の床鍋に製糸工場があって、繭をいっぱい集めていました。」
「親がカイコの先生(飼育指導員)さんにお出しするお菓子が子供の頃は食べたくてたまりませんでした。」


ご利用者さんから蚕のお話を聞いていると、だんだんとカイコさんを飼ってみたくなってきます。 

調べてみると、蚕を飼育している介護施設もけっこうあるようです。

これはぜひ長老大学でもチャレンジしてみたい。

ネット通販で蚕さんの飼育セットを購入

ネットショップ【繭と蚕の里山のクラフト便り】さんより、カイコ飼育セット1週間コース 白繭 20頭」を購入しました。

蚕さんは一生に4回脱皮しするそうで、一週間コースは最期の脱皮直前の4眠という状態で届きます。
もう十分に育っていますので初心者にも始めやすいです。

 

カイコ飼育セット-蚕を育て、幼虫から繭,成虫までの観察ができます- 【繭と蚕の里山のクラフト便り】

 

蚕さんは「ゆうぱっく」で到着しました。
お腹を空かせた状態なので、すぐに付属していた人工飼料を与えます。

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ひと目見て、「これは4令かな?5令かな?」とご利用者さん。

魚肉ソーセージのよう物体は人工飼料シルクメイトです。
これにはご利用者さんも驚いていおられました。
匂いがけっこうあります。

 

2日後、はじめて桑の葉を与えました。

蚕さんは一度桑の葉を食べると2度と人工飼料を食べなくなるそうなので餌の継続的な確保に注意が必要です。
お昼のパート職員さんが毎日汗見川の桑の葉をとってきてくださいました。
本当にありがとうございました。

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夜は自宅に持ち帰り、子ども達に世話をしてもらいました。

5令になった蚕さんの成長はとても早くて、朝と夜では大きさが違います。

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約1週間後、糸を吐き始めました。

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 飼育キットに付属していた透明の観察ケースと「まぶし」と呼ばれる道具に蚕さんを移します。

「まぶし」は本山では「蜂の巣」と呼ばれていたそうです。

付属の「まぶし」は少し浅くて蚕さんが入りづらそうでした。

 

ご利用者さんが、「蜂の巣に入りきらなかった蚕さんはこうやって新聞紙の筒にいれたものですよ」と教えて下さいました。

新聞紙の筒は両端を折って閉じて、立たせて置きます。

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全てキレイな繭になりました!

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新聞紙で作った繭は尿で汚れずにとてもキレイです。
良いことを教えていただきました。

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いくつかの繭からは生糸を取らせていただきました。

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とてもキレイなツヤツヤとした糸です。

 

糸を取らなかった繭からは蚕さんが羽化しました。

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こんなに綺麗な生き物とは知りませんでした。

驚きました。

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ご利用者さんも、羽化した蚕さんを見るのは初めてな方が多く、驚いておられました。

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次々に羽化すると交尾がはじまります。

蚕さんは交尾したまま死んでしまうので、卵を採るには人の手で引き離してあげなければいけません。

そのことを割愛というそうです。

 

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A4のコピー用紙で作った箱の中で卵を産んでもらいました。

蚕さんは交尾を終えて卵を産むとまもなくその生涯を終えました。

長老大学に来て約1ヶ月経っていました。

 

2nd Generation

蚕さんの卵は冷蔵庫で保管できるという情報をネットで見つけました。
私達は卵のついたコピー用紙をジップロックで密閉して冷蔵保存しました。

 

この辺りはご利用者さんも未知の領域です。

 

長老大学の盆休みが終わり、最も暑い時期を過ぎた8月21日に冷蔵庫から出してみました。

 

8月が終わっても、まったく変化がありません。

ダメだったのかな?と思っていた9月4日、卵の周りに小さなアリのような黒いものが動いていました。

よーく見ると蚕さんです!蚕さんが孵化しました!

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産まれたての蚕さんの幼虫はアリのように小さくて黒いので蟻蚕と呼ばれるそうです。

ご利用者さんも虫眼鏡を使って観察しておられました。

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こんなに小さかったのが、あっというまに大きくなって

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また繭になりました。

第2世代は100匹ほど育てたので、けっこうな量になりました。

一部の繭からはまた糸を取らせていただきました。

糸取機を少し改良しています。

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糸をとらなかった繭からはまた蚕さんが羽化してくれました。

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卵から成虫までの飼育は、ご利用者さんも全く初めての経験だったそうで、とても喜んでいただくことができました。

何匹かの蚕さんは本山保育所に行き、地域の子供たちも親しんでくれたそうです。

 

来年はご利用者さんとともに繭を使ったクラフト作りなどもできたらいいなと考えています。

 

蚕さんの飼育には、購入した【繭と蚕の里山のクラフト便り】さんと、カイコホリックさんというブログを参考にさせていただきました。

kaikoholic.hateblo.jp