デイサービス長老大学

高齢者の皆様と共に未来をつくる。デイサービス 長老大学 のブログです。


コロナ禍にオンライン介護デイサービスを始める理由

こんにちは。
デイサービス長老大学 代表の澤本洋介(@sawamoto482)です。
この度、オンラインで介護デイサービスという新規事業をはじめることにいたしました。

新規にサービスを始める理由と、その内容についてご説明いたします。

オンライン介護デイサービスを始める理由

理由は、新型コロナウイルスが在り続ける社会になってしまったからです。
ワクチンの効果もあり、もはや怖い病気ではないという空気も広まりつつありますが、特に高齢者や持病のある方には、いまだ生命に関わる恐ろしい感染症です。

流行期には、通所介護サービスの利用を控えるという方も多く、それによる心身機能の低下も多く報告されています。

「コロナ禍で通所サービスの利用や外出ができない方に、心身機能の維持向上に少しでもお役に立てるようなサービスを提供したい」
これが、私達がオンライン介護デイサービスを始めようと思う一番の理由です。

オンライン介護デイサービスで何ができるのか?

残念ながらリアルなデイサービスに比べると、オンラインではできることはとても少ないです。
入浴やお食事や排泄の介助は、もちろんできません。
近くに寄り添って、お話を聞くこともできません。

ですが、私がリアルなデイサービスを運営するなかで、デイサービスの大きな役割のひとつと考える機能についてはご提供することができます。

デイサービスの最も大きな役割

それは、「朝起きて、身だしなみを整えて、他人と会話をして、日中は体を起こして過ごす」ということです。
一言でいうと、「生活リズムを整え、暮らしにメリハリをつける」ことです。

それだけ?と思われるかもしれませんが、その機会の提供こそが、デイサービスの最も大きな役割のひとつと私は考えています。

ウトウトしながらでも、声をかけられればハッと起きてお話に参加したり。
「なんでワシがチーチーパッパをせにゃあならんのだ」と嫌がりながらも渋々歌を歌ったり。

一見すると、利用する価値のないデイサービスに見えるかもしれませんが、それでもそのデイを利用するとしないのとでは、心身機能が衰えていくスピードが、全く違うのです。
それほどに生活リズムを整えることは重要です。

リアルデイサービス開業時の思い出

私たちは元々はケアマネージャーの事業所を単独で運営していました。

当時(2015年)の高知県本山町にはデイサービスが1件しかなく、どうしてもそのデイサービスに通えない・通いたくないというご利用者さんには、他のデイへ行くという選択肢がありませんでした。
ケアマネとして、訪問系サービスを中心にケアプランを組んで、そうしたご利用者さんの生活を支援していましたが、訪問サービスだけではどうしても限界があるケースも少なくありませんでした。

そこで、「この地域には通所サービスの選択肢が必要だ」という思いからデイサービス長老大学を開業しました。
当時の様子をブログ記事に書いていましたので、引用します。

 

ある利用者さんのご家族から
「去年の今ごろはちょっとしたことで本人が何回も救急車を呼んでしまい、もう在宅介護は限界だと思っていた。」
「本人には申し訳ないが施設に入ってもらうしかないと思っていた。長老大学に行きはじめてから救急車を呼ばずにすむようになった。見違えるようだ」
と、おっしゃっていただきました。

その頃のことは私達もとてもよく覚えています。
鍼灸マッサージ師として関わり、ケアマネージャーとして関わり、ご本人のご希望である在宅での暮らしをできる限り支援したいと思っていましたが、閉じこもりによる活動量の低下や昼夜逆転への対応は訪問系サービスだけでは難しく。通所系サービスは選択肢が少なくどうしても利用できず。
なんとか来年の4月まで持ちこたえて私達が作るデイサービスに来ていただくことができたなら必ず状況は改善するはずだと考えて、たくさんの人たちにご協力いただきました。
ご近所の皆様、訪問看護、訪問介護、病院や救急隊の皆様など本当に多くの人に助けられました。

不安感に寄り添う。救急車の不適切利用を少し減らせたことについて。 - デイサービス長老大学


この方が在宅での生活を継続できるようになったのは、デイサービスの利用によって、「朝起きて、身だしなみを整えて、他人と会話をして、日中は体を起こして過ごす」ことができるようになった影響が大きいと私は考えています。

この機能は当たり前すぎて、介護専門職以外の方には気がつきにくいポイントかもしれません。

オンライン介護デイサービスでできること

朝起きない、顔も洗わず着替えもしない、家族が声をかけても返事がない、日中も横になってばかり、夜は不眠を訴える。

特に冬場には、下の図のように「することがない・疲れる・寒い」からの「横になりっぱなし」という体力低下の悪循環に陥ってしまう方がとても多いです。

(上田敏著『目で見るリハビリテーション医学 (第2版)』より)


このような状況では、高齢者の心身機能はあっという間に低下してしまいます。ご家族が懸命に声をかけても、家族だからこその反発もあり、家庭という密すぎる閉鎖空間の中でお互いにストレスが溜まってしまうこともあります。
虐待に繋がってしまうケースもあります。


そしておそらく今現在、コロナ禍で外出を控え、デイサービスの利用を控えるなかで、このような状況となってしまっている在宅介護のご家庭はとても多いだろうと思われます。


私たちは、このようなご家庭の皆様に、オンラインのビデオ通話アプリを介して、デイサービスの最も本質的で大きな役割である「生活リズムを整えて、生活にメリハリをつける」機会を提供したいと考えています。

具体的なサービス内容

オンラインビデオ通話サービスZOOMを利用して、高齢者の皆様に向けたグループプログラムを午前と午後に2コマづつ提供いたします。1コマの時間は45分間です。
プログラムの内容は、デイサービス長老大学の中でも行っている、発声練習・脳活レクレーション・音楽体操・口腔体操・全身体操・聞き書きレクなどです。


午前の部(例)

1時間目 10:15-11:00 発声練習 脳活レク 聞き書きレク(≒回想法)
2時間目 11:15-12:00 全身体操 口腔体操

午後の部(例)
3時間目 13:15-14:00 発声練習 脳活レク 聞き書きレク(≒回想法)
4時間目 14:15-15:00 全身体操 口腔体操


このサービスを利用していただくことにより、「朝起きて、身だしなみを整えて、他人と会話をして、日中は体を起こして過ごす」ことが、自然と無理なく実現できます。
ほどよく疲れることにより夜の睡眠が深くなるという効果も期待できます。

社会貢献を「する側」としての聞き書きレク(≒回想法)

デイサービス長老大学の大きな特徴として、聞き書きレクというプログラムがあります。

聞き書きレクに関しては、高齢者の皆様には社会貢献「する側」として、ボランティアのようなお気持ちでのご参加をお願いしています。


こちらは、回想法にとてもよく似ているのですが、高齢者の皆様から昔の暮らしや仕事、今考えていることや感じていることについてお話をお聞かせいただき、それを記録する活動です。

そして、ご本人とご家族にご同意をいただいた内容については、WEBなどに公開して、社会にその貴重な知識やご経験を循環させていこうという活動も行っています。

私達のその活動についてはNHKさんにも取り上げていただき、NHK World のホームページでご覧頂くこともできますので、ぜひ御覧ください。

www3.nhk.or.jp

こちらの活動は、高齢者の皆様が若いものにモノを教えることにより、「人の役に立っている感」を感じていただき、自己効力感を高め、元気になっていただくことをねらいとしています。(実際に若い方にとって役立つ情報発信を行うこともねらいとしています。)

 

www.chouroudaigaku.com

「人の役に立つ」ということは、「おいしいものを食べる」ことと同じように、人生の数ある喜びのうちの1つに過ぎません。

たかが「人の役に立つこと」

されど「人の役に立つこと」

高齢者介護の現場では、お若くて元気な頃は当たり前だった喜びが、当たり前ではなくなってしまうということも多いです。

「お風呂であったまる喜び」も、「おいしいものを食べる喜び」も、「人の役に立つ喜び」も。

長老大学はご利用者の皆様が望まれる一つ一つの喜びを、できるだけ沢山感じていただき、共に楽しみたいと考えています。

 

ご利用料金(2022/12/15現在)

現在はモニター様に向けて無料でサービス提供を行っております。

来春以降は、平日毎日のサービス実施を予定しています。
このサービスは現時点では介護保険が使えませんので自費利用となります。

来春以降の料金は月額制(サブスクリプション)です。

午前の部・午後の部、それぞれ月額25,000円を予定しています。
午前午後とも両方のご参加をご希望の方へは、45,000円を予定しています。

ご利用方法

現在(2022年11月・12月)は、木曜日と土曜日に無料体験モニターを実施しています。
サービスの本スタートは2023年春を予定しています。

ご利用希望の方は、まずは無料体験モニターにご参加ください。(木曜と土曜以外にお試しをご希望のかたはご相談ください。)
参加希望やご質問・ご相談は、以下のフォームまで、ご連絡をお願いしたいます。