デイサービス長老大学

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お米をおいしく食べるために~くらしの知恵と工夫から~

こんにちは、長老大学オンライン支店スタッフのあいかわです!
 

 今回は、K様とS様に聞き書きをさせていただきました。おふたりには、昔の家電のお話を伺いました。そのなかでも、いまのような電気釜ができる前にどのようなものを使っていたのか、ご飯の保存方法など、とても貴重なお話を伺ったので紹介したいと思います。

 

S様:電気釜やガス釜などが出る前は、みんなかまどでご飯を炊いていました。そのときは羽釜を使っていましたよ。丸い木の5cmくらい厚い蓋がついているやつですね。炊き方について、「はじめちょろちょろ中ぱっぱ、赤子泣いても蓋とるな」と覚えさせられました。「ぼうぼう言うたら火をひいて……」というのもあったと思うんですが。

 

K様:そう、最初はちょろ火です。お釜で炊くとおこげが底の方にできるので、おにぎりにして食べるとそれがおいしかったんです。炊けたかどうかは、泡が吹かなくなると炊けたと分かる。それに、蓋をすこしあけて見ればわかった。ご飯とご飯の粒のあいだに、穴がぽつぽつできているとおいしく炊けた証拠です。

 

この「はじめちょろちょろ~」の謳い文句はわたしも聞いたことがありました。
この歌について調べたところ、地域によっていろいろとちがう種類があるそうです。そのなかでも、「じゅうじゅう吹いたら火をひいて、ひと握りのワラ燃やし、赤子泣いても蓋とるな」というのがありました。

 

hajityoro.com

「はじめちょろちょろ」様(2022/12/01)『【解説】はじめちょろちょろ中ぱっぱ…の全文と意味』(https://hajityoro.com/hajimetyorotyoro

 

また、調べていくうちに、下記のサイト様で興味深いことがわかりました。この歌は、江戸時代ころにできたらしいのですが、そのころの熱源に合わせた火加減であり、また、釜で炊いていたころの火加減でもあるため、現在土鍋や飯盒などで行なおうとすると失敗してしまう、ということでした。

 

meshioto.sound1beat.com

「メシオト」様(2022/12/01)『はじめちょろちょろなかぱっぱ|嘘で間違いと言われる理由と意味について解説[米]』(https://meshioto.sound1beat.com/food/hazimetyorotyoro/

 

この歌は、当時の状況に合わせた方法だったということですね。こういう歌を通して、きちんとおいしく炊けているかどうかの目安をおふたりとも知っておられたということで、まさにくらしの知恵だなと感じました。なんにせよ、いまのように、自動で炊けるわけではなく、火加減や炊け具合もしっかり見ないといけないというのは大変だなと思います。ですが、お釜で炊いたご飯は本当においしかったということで、特におこげのおにぎりというのをわたしも食べてみたいなあと思いました。
また、炊いたご飯の保温方法についても、K様とS様からお話を伺うことができました。

 

K様:電気釜が出たころ、うちは電気釜ではなくてガス釜を使っていたけんど、炊けたご飯は保温するために、木のおひつに入れていました。

 

S様:うちは炊いたものをすぐ食べ切っていたので使っていませんでしたが、ちゃんと保温したいときは、おひつを包む、藁でできたいれものがあって、みんなそれにおひつを入れて包んでいましたね。

 

この藁でできたいれものというのを調べてみたところ、いずめ、飯櫃入れ(めしびついれ)、わらいずみ、飯櫃ふご(めしびつふご)というように様々な名前があるようです。

 

www.city.fukuyama.hiroshima.jp

「福山市神辺歴史民俗資料館」様(2022/12/01)『昔の道具について 「食関係」』(https://www.city.fukuyama.hiroshima.jp/site/kannabe-rekishiminzoku/3154.html

 

 

rekimin-sekigahara.jp

「関ケ原町歴史民俗資料館」様(2022/12/01)『飯櫃(めしびつ)といずめ』(https://rekimin-sekigahara.jp/main/exhibition/mingu100/mingu-syoku/100_15.html

 

S様の記憶では、このように立派な工芸品のようなものでなく、もっと簡素なかたちだったそうです。確かに、調べてみたところ、いま売っているものを調べたところ、何千円や何万円もするような、高級で立派なものが多く出てきました。

また、K様からは、特に夏の時分の、ご飯の保存の工夫を伺いました。

 

K様:夏には、竹ザルに布巾を敷いて、その上に炊けたご飯をのせて、それに布をかけて、日陰につるして保存してました。太陽の陽に当たると腐ってしまうので。竹ザルの底には竹の筒がついていて、安定して置けるようになっていて、それによって風通しもよくなっていました。

 

この竹ザルについては、「飯かご」として、地域によっていろいろなかたちや名前で存在していたそうです。下記のサイト様に、「イカキ」として、K様の使っておられたものとよく似たものがありました。

 

ew.sanuki.ne.jp

「さぬき市歴史民俗資料館」様(2022/12/01)『さぬき市歴史民俗資料館ガイド 昔の生活道具編』(http://ew.sanuki.ne.jp/rekimin/mukasinodougu.html#ikaki

 

S様もご自分が子どものころのそういった風景を覚えておられ、竹ザルの話に共感されていました。そして、K様のおうちにはなんとまだその竹ザルが残っており、実物を見せて下さいました。竹の筒はとれてしまったとのことでしたが、丁寧に作られた丈夫な竹ザルはまだ現役でつかうことができそうで、本当にすばらしいなと思いました。
冷蔵庫のなかった時代、ものを腐らせないようにさまざまな工夫をしておられたんだなということが、おふたりのお話からよく伝わってきました。


フードロスという言葉がありますが、保存技術の進化した現代だからこそ、わたしも食べものを無駄なくいただくように心がける気持ちを大切にしていきたいなとわたしもひしひしと感じました。

 

K様、S様、とても貴重なお話を聴かせていただき、本当にありがとうございました!

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