今年も残すところ僅かとなりました。
年末になると消防団の皆さんが「火の用心」と呼びかけて廻ってくれます。
ガスが普及する以前は火災がとても多かったようで、長老大学の利用者さんからは昔の火事についてのお話をお聞かせいただくことがよくあります。
-昔は火事が多かったと聞きましたが本当ですか?
そらそうよ。
昔は何でも薪を使いよったけ。
風呂からストーブから料理までなんでも薪やった。
一番多いのは風呂の火事よ。風呂の煙突ら辺から。
わしらが消防団入っとった頃、ボヤがあったと言うたらたいがい風呂やった。
8割がたは風呂やね。
ここいらほとんど薪風呂じゃったけ。
それで風呂は別棟にしてたんと思うのよ。
-お風呂が別棟の家はそういう理由だったんですか。
そうやと思う。
母屋にくっついちょったら、そりゃあ丸焼けになることもあるろうけんど、
風呂は焼けても母屋は焼けんことが多かった。
消防で行ったら母屋に延焼せんように、母屋にばっか放水しよった。
水が大量にありゃあ別だけど、たいがいの山奥に水は無いもの。
防火水槽ゆうたちチョットしかないけ。
-薪風呂は危ないんですか?
煙突周りをよく見ちょいたら大丈夫。
煙突にヒビが入っちょったり、軒にくっついちょったら危ない。
軒を通した所に焦げ目がつうちゅうことがある。
火事になる一歩手前よ。
薪ストーブも接触しゆう所を気をつけなあ。
昔は今みたいな金属じゃのおて、石綿みたいなヤツを固めた、落としたら割れるような煙突を使いよった。セメントみたいな。
使いよるとクラックが入っちゅうのよ。
それをそのままおいちょったら火事の元よ。
-点検をしっかりすることが大事ですね。
ちゃんと点検せんといかん。
薪は一本放りこんじょったらいつまでもポカポカ気持ちええのよ。
冷えらん程度に沸きゆうけ。
昔は風呂に入るも大変じゃった。
井(ゆ(水路))から水を汲んで、天秤棒で両方へかついで。
ぞんがい重いのよ。
いっぱい入れたらよお担がん。
ずるうなかった(楽じゃない)ぜよ。
大火になったらもうはじまらん。(どうにもならない)
ボヤの時に気がついてパッと消したら良かったけんど。
バケツでかけたちはじまらん。
消防車が入らんく(所)がいっぱいあった。
道が狭くて、道が無いくがあったきねえ。
人が通るばあの道しかなくて。
車が普及してからよ。道ができたのは。
薪の生活が中心だった頃は、火事は最も身近な恐怖だったようです。
一冬に何件も火災が発生していたようですが、ガスと電気が普及してから火事の件数は大幅に減少したそうです。
近頃は「火のある暮らしの豊かさ」が見直され、田舎暮らし志向の移住者の方は薪の暮らしを実践する方も増えてきました。
本山町にも薪で暮らす矢野さんがブログにレポートを書いてくれています。
我が家もお風呂は薪・灯油焚兼用なので、薪で沸かした風呂に入ることがあります。たしかに、とても気持ちよく感じます。
釜戸でご飯を炊き、薪ストーブで暖をとる暮らしはとても素敵です。
定期的な防火点検や、消火器等の備えを万全にし、火のある暮らしの豊かさを楽しみましょう。